今井イマイチの垂れ流したアッピーオンラインの二次小説風読み物です。
あくまで適当なテキストではありますが、アッピー2の公開が決まったということで、昔に途中まで書いて放置していた 少しずつ加筆修正入れて投稿していきます。 グーグル先生ともう一カ所以外にリンク元を用意していないはずなので読む方も少ないとは思いますが、どうぞおつきあいくださいませ。 今井イマイチ 08.11.21 その先には一組の男女がギニアスの方を向きながら立っている。
「よー、ユリアンもレナも早いなぁ」 言いつつ近寄っていくと、 「兄貴が遅いんスよ」 先ほど呼びかけてきた青年が口の端をゆがめながら返答。 ギニアスはへへ、と笑いつつ、その青年ユリアンと仲間内で一番の古株魔法使いレナ、先ほど迎えに来てくれたユリアンの彼女で魔法使いのセイラを合わせた三人の顔を、一人一人見ていく。 「Kナイトメアズ復活ぅってか?」 ギニアスが照れ笑いしながら言うと、 「解散したつもりないですよー?」 ポニーテールにとんがり帽子、薄紫のローブという出で立ちの小柄なセイラが、嬉しそうにロッドを胸の前で揺らしながらえへへと笑う。 セイラと目を合わせて、は、と笑うとユリアンに視線を戻した。 「ユリアンも戦士らしく立派になりやがったなあ」 言い、ユリアンを頭の先から眺めてゆく。 銀で装飾された赤銅の鉢。 胴を守るのはユリアンと同じ銀の胸当て、なのだが、なぜか下半身は佩楯と黒染めレザーのすね当てだ。 「……うん、立派だよな?」 「疑問系はやめようよ兄貴……。最近武器を変えたから、あんまり重い防具つけてられなくて。そんでちょっとちぐはぐなんスよ」 言い、腰からつり下げた剣を鞘ごとはずす。 鞘は黒く光沢があり、先端部に金属の覆いが付いている木製のものだ。柄は紺色の紐のようなものが巻き付けてあり、 「全体的にその剣反ってないか?」 と、ギニアスは小首をかしげながら尋ねた。 今は斧使いだが、長剣を使っていた頃はゴーレムのような堅いモンスターを相手にした後など歪んだり反り返ったりしていないかを確かめたものだが、最初から反っているものを見るのは初めてだ。 「ああ、これはカタナって言って、鍛冶屋のオヤジ曰く大昔の小説だか伝説だかに遺る剣を復元したものらしいッス」 言い、鞘から抜く。 緩やかな反りを持ったそれは、かがり火に照らされて美しい刃文を浮き出させている。 「本当は片刃らしいッスけど、実はこれ切っ先だけ両刃なんスよ」 言いつつギニアスに向かって八相の構えを取る。 「なかなか綺麗な剣だな」 正直な感想を述べてから、ふと気づく。 柄の先端から紐が伸びており、そこに金属製のキューブがぶら下がっている。 それは表面は鏡面状に加工されており、大きさは五センチ程度の綺麗な立方体だ。
ヒト、動物、モンスター。
三種の生物が領土を巡って対立する世界。 ヒトは剣と知能を武器に領土を広げ、動物は持ち前の繁殖力で居場所と安寧を得、モンスターは牙と魔法でヒトの領土を侵す。 その世界の名前は誰が最初にそう呼んだのか、そしてその意味さえも知らぬまま人々はこう呼んでいる。 アッピー、と。 ○ 梅も既に散り終えてちらほらと桜の花が咲き始め、花見という単語とともに空気まで淡いピンク色に染まり始める三月第四週土曜日、今の時間は晩の七時半を過ぎたあたり。月末の休日と言うこともあり、ドルロレ首都商店街は買い物客で絶賛混雑中だ。 魔法商店の前ではサングラス姿の魔法使いがメガホン片手に回復薬をたたき売り、皮製の服を着込んだ駆け出しの男探検家が財布と値札を何度も見比べ、隣の女魔法使いが早くしてよとわめいている。 その風景を視界に納めてにやつきながら、今年で三十になるギニアスは城前通り商店街をドルロレ城外壁門に向かって歩いていた。 ――週末らしい良い雰囲気じゃねぇか。 全身で周囲の明るい雰囲気を感じながらも、少し視線を下げれば周囲の雰囲気とギャップのある自身の全身が見えてくる。 「どう控えめに見てもすげー物騒な格好だよなあ、これ」 右手には金色に輝くリアカーのタイヤ程もある両刃斧。 左手には先端を地面に突き立てれば胸元まであるアメジストコーティングの大盾。 胸には暗い場所でも輝きを失わない厳つい銀のプレートアーマー。 甲は装備していないが、後ろで束ねられた黒髪と無精髭が甲冑の勇姿をさらに引き立てる。 このまま防具屋の前にでも立っていたら、店主の親父にマネキン扱いされる事間違いなしだ。 でも今日なら大丈夫だ、とギニアスは思う。 立ち止まることなく周りを見れば、ギニアスのようにフル装備の戦士や探検家が方々に居る。 今日は土曜日、恒例クロノス軍の攻城戦だ。 もちろん、攻城するのはクロノス率いるモンスター軍の側であって人間が城攻めするわけではないので、防衛戦と呼ぶ人も多い。 ――うちの部隊が防衛戦に参加すんの何年ぶりだっけ? そう頭の中でカレンダーを描きつつ考えるが、最後に参加した日付を思い出せずに結局そのまま脳内でカレンダーを破いて捨てた。 まあいいや、と思い直して正面を見ると、ちょうど内堀にかけられた橋にさしかかる。 城門にはかがり火が灯され、城壁の上には弓を抱えた探検家が談笑しつつ見張りを続けている姿が見える。 城門を通して見るドルロレ城内は既に人だらけだ。 ロッドを重しに腰を回す魔法使い。 弓矢の本数チェックをしようとしてばらまく探検家。 斧を頭上に掲げて雄叫びをあげる戦士。 クロノス軍が毎週越境する時間までまだ時間はあるというのに、 「やる気満々だよなあ。いや、懐かしいねこの雰囲気」 それらを遠目に眺めつつ、ギニアスは木製の吊り橋を渡って外壁城門をくぐり城内へ。 喧騒の中心に入り、一風変わった集団が視界の隅っこに入るが、無視して見知った人は居ないかと周囲を伺っていると、 「兄貴ぃ、ギニアス兄貴! こっちですこっちー!」 遠くから若い男の呼ぶ声がした。 さてどっちから呼ばれたのかな、と腰に手を当てて呑気に考えていると、ローブの裾を摘みながら人混みを縫って駆けて来る女魔法使いが目にとまる。 「おー、セイラじゃねぇかよう」 「よう、じゃないですよ団長っ。みんなもう向こうに集まってますって」 セイラと呼ばれた魔法使いは左手で真後ろ、城門から向かって左手の方角を指さした。
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